観察しようとする虫の1点から来た光は、凸レンズに入り、凸レンズで曲げられて(絞られて)
おおよそ平行の光の束になって目に入っていきます。しかし目は光の来た方向とは逆に、目から物の
方へと辿り、光がレンズのところで曲がらずに来たものとして、光の出たところを知覚してしまうから
です。
言い換えれば、ル−ペは目のだまされる働きを利用して、物を大きく見せているのです。
虫メガネが物を大きく見せる理由や条件を挙げると次のようになります。
1、虫メガネ(天眼鏡・ル−ペ)のレンズが凸レンズだからです。
2、レンズの焦点に見ようとするものを合わせ、平行に進む光の束を作ったからです。
*虫メガネは、そのレンズの焦点にものを合わせる(置く)と、ものから出た光はレン
ズを通った後は平行に進みます。
3、目が平行にきた光束を絞りまとめて(収斂して)網膜に像を結ばせるからです。
*目は、平行になって来る光の束であれば、水晶体という目のレンズで絞って網膜に像
を結ばせることができます。
*目は、ほぼ平行に来る光なら良いのですが、広がってくる光束や絞られてくる光束の
ときは、網膜に像を結ばせることができないのです。
カメラのフィルムの位置には、被写体の上下左右が逆転した実像があるのですが、実
像はレンズの後ろで絞られてきた光束によって作られているので、目はその空間にあ
る実像を見ることができないのです。
4、目は曲がってきた光をいつも真っ直ぐに来たものと受け取る(知覚する)からです。
5、目に映った拡大された正立像は、実際にはその位置から光を出していない虚像です。
☆虫メガネ(天眼鏡・ル−ペ)の倍率
虫メガネの倍率(M)は、250@をレンズの焦点距離(@)で割ったものです。
250@とは、明視距離といい、ことさら目に力を入れることなく普通の状態で、最も近
くを見ることのできる、目と物の距離のことです。この最も近くを見ることのできる距離
を至近距離といい、若いときは短く年を経るに従って長くなったり、個人差もあります。
個人差のある数値は基準に出来ないので、至近距離の平均的な数値を求めて基準にしたの
が明視距離です。
したがって、焦点距離(f) 50@の虫メガネの倍率は、下記の式のように5倍になります。
M= 250 / f
M= 250 / 50 =5
また、虫メガネの倍率は焦点距離の短いレンズほど倍率が高くなることが解ります。
*参考-1 望遠鏡(双眼鏡)の倍率
ついでに、双眼鏡の倍率(X)もいいましょう。
双眼鏡の最も分かりやすい倍率式は、対物レンズの焦点距離(fo)を接眼レンズの焦点距
離(fe)で割ったものです。
したがって、対物レンズの焦点距離が 200@、接眼レンズの焦点距離 25@ の双眼鏡の
の倍率は、下記の式のように8倍になります。
X = fo / fe
X = 200 / 25 =8
双眼鏡には「8x24」等の表示もありますが、これは、この双眼鏡は8倍でレンズの直
径が24@であることを示しています。
この場合の倍率式は、対物レンズの半径を接眼レンズの瞳孔(普通は3@)の半径で割った
ものになります。
X= ho/he
X=(24/2)/(3/2)
X= 8
*参考-2 顕微鏡の倍率
ちなみに、顕微鏡の倍率(X)をいいますと、次も通りです。
顕微鏡の倍率は、対物レンズの倍率(mo)に接眼鏡の倍率(me)をかけたものです。
mo =40, me=10 とすると、400ばいになります。
X= 40 x 10 = 400
*参考-3 老眼鏡
ル−ペと同じような凸レンズでも、老眼鏡は虫メガネやル−ペとは全く違います。
老眼でない正常視力の人が老眼鏡を覗くと、一見ル−ペのような働きをして物を大き
く見せてくれますが、拡大率が低くル−ペにはなりません。
老眼は水晶体が硬くなったり、水晶体を調節する力がなくなったりして、手元の近い
ところ(至近距離)が見にくくなったものです。
老眼の人の正しく良い老眼鏡は、その人の目の状態(結像位置と網膜の位置のずれ具
合や物が正しい形状に見ることのできない乱視の程度など)に合わせて調整されたも
のなのです。正しい老眼鏡を掛けた人は、ものが大きく見えるのではなく、至近距離に
焦点がしっかり合うようになって、近いところの物がはっきり見えるようになるのです。