6. 物が大きく見えるとき

6-1. 海中のサザエや魚はなぜ大きく見えるのか?

 大きなサザエを採ったと喜んでいたが、あとで思っていたよりも大きくなくてガッカリした覚えはないでしょうか?
 サザエや魚の住んでいる海水の屈折率と海中メガネの中の空気の屈折率が違うため、サザエから出た光が空気のところで大きく曲がって(屈折して)目に入るからです。
 ところが目は、目からサザエへと逆に辿って見ることになるのですが、このとき、光は曲がらずに真っ直ぐ来ているように感じる(見てしまう)からなのです。
 この現象は、水の入った深いコップの中のコインが大きく浮き上がって見えることと同じ仕組です.

 

物の大きい小さいを目で見て判断するときは、目と物の両端が作る角度AとA’の大きさを比較して判断しているのです。水の中のコインは水の表面まで浮き上がった状態になるので、AよりもA’の方が大きくなり、大きく見えるのです。
  

 水に中の物体が大きく見える理由や条件を挙げると次のようになります。

1. 屈折率(光学的密度)の違う物(媒体)が隣り合っているからです。
2. 屈折率の高い方(水;1.33)に物、屈折率の低い方(空気;1.0)に目が接しているからです。
3. 屈折率の高いもの(媒体)を通してみると、屈折率が高いほど物体が浮き上がって見えます。
海中のさざえ、コップの中のコイン、厚いガラス板の下の文字などが浮き上がって(近づいて)大きく見えます。
4. 屈折率の差が大きいほど大きく見えるのです。
水のなかに入れた長いものを斜め横から見ると、折れたように曲がって見えるのも、風呂の中で、手が実際の深さよりも浅いところで手の指が細長く見えるのも、この屈折率の差による現象の一つです。
斜めから見るほど、実際の光路の長さと目が感じる光路の長さの差が大きくなるので、手はより細く見えるようになります。
5. 水中に入れた棒が屈折して曲るのは、光が最短の道を通った結果なのです。


光は最短の経路を選んで通ります。ただし、最短というのは距離ではありません。時間が最短になる経路=光路をいいます。
目と棒の先のP点との長さを見ると、光路Aが距離的には一番短い。しかし、Pは光路BのP’の位置にあるように見えます。すなわち、光はBの光路の方が短いと判断して、この光路を選んだのです。
光は密度の高いところでは遅くなる性質を持っています。そして水の中が長く空気中が短いAよりも、水中の距離が短く空気中を長い距離走るBの方が時間的に早く届くのです。ただし、この時間の差はごく僅かなものなので、普通の計算で差を示すことは難しいでしょう。
このBの道を光が最短の光路と判断して通るために、水中に入れた棒が曲って見えるのです。